日本語に限らず、語学学習はいわば山登りのようなものです。「記憶」という作業を伴う以上、誰もが多くの時間と労力をかけて一歩ずつ自分の足で登らなければ成果を手にすることはできません。しかし、MISJというよく整備されたルートを選択し、MISJが提供する道具とガイドを活用すれば、景色を楽しめる程度のところまでは従来の半分以下の労力と時間で、しかもそのプロセスを楽しみながら確実に登れるのです。
そもそもMISJは、多種多様な最終目標をもった人々が等しく必要とする基盤を速やかにかつ確実に築くために開発されたものです。したがって、そうした人々にとって、MISJの到達点はそれぞれの最終目標への出発点、つまり誰もがそこから各自の目指す頂上に向かってそのまま歩み続けることができるのです。
世界中で多種多様な言語が使われていますが、どの言語にもその言語特有のしくみがあります。もちろん日本語にも、特に文を作る、会話をするという観点からみると日本語固有の現象がたくさんあります。
大人の学習者の場合、できればこうしたことを最初からきちんと理解しながら学ぶほうが効率がよい、したがって少なくとも初期段階においては可能であれば媒介語を使ったほうがよい、というのがMISJの基本的な考え方です。
この問題を解決するために考案されたのが「ローマ字の虫食いメソッド」です。
少しずつ文字と発音を組み合わせて学習させ、習った文字のローマ字はそれ以降使用しないようにすることによって、無理なく、なかば自動的に最低でも「ひらがな」を読む力を身につけていくことができるよう工夫されています。
ashita (「あ行学習」)→あshita (「か・さ行学習」)→あしta (「た行学習」)→あした
手で文字を書く練習は、数回のレッスンの後は各自に任せますが、努力をする人は2時間のレッスンを6回も受ければ作文が書けるようになります。
作文例1(6レッスン12時間後、フィンランド、20歳) わたしのlyおしnはfinrandojinです。ははのなmaえはMariタです。 かいshaいんです。わたしのちち、Veサもかいshaいんです。 あにはgaくせいです。まmaえはVilleです。はたちです。まいにち gakkooにいきmaす。lyしんはかいshaにいきます。 まいあさVilleはyoghurtをたbemaす。ちちはコーヒーをのmimaす。 panをたbemaす。ははもコーヒーをのmimaす。はははhuebliをたbemaす。 わたしもコーヒーをのmimaす。panとyoghurtをたbemaす。 yoluはははpiアノをしmaす。テlebiをmimaす。ちちはえいgoのbenkyooをしmaす。 doyoobiにセイnajoキにいきmaす。ははとVilleとわたしはdeparトにいきmaす。 ちちはdepartにはいきmaせん。 [注:原文ママ]
作文例2(7レッスン16時間後、香港、15歳)
会話の基本は質問と答えの組み合わせです。自在に質問ができること、質問に答えられること、これができないと会話をスムーズにこなすことができません。
MISJでは可能な限り,学習項目をQ & A形式に仕立て、両方の力がバランスよく身につくよう工夫してあります。
練習の過程で常に相手の言うことを聞くことになるので、聴解力も確実に身につきます。
どういう場合にどういう反応をすればよいのか、可能な限り、学習する表現とそれに対する反応の仕方を組にして学習できるよう工夫しています。従って、MISJの学習者は非常に早い段階から、日本語らしい会話ができるようになります。
A:今日はいい天気ですね。 B:そうですねえ。本当にいい天気ですね。
そこでMISJでは、表現や活用などを可能な限りパターンやルールとして提示し、一般的な形できちんと頭で理解する過程を設けています。「とにかく文法より会話」という風潮のなかで、この方法は文法や訓練を重視しており時代遅れだ、いわゆるネイティブのような流暢さが身につかない、と指摘されることがあります。しかし、母国語話者であっても何も考えずに話せる内容はごく限られており、スピーチをする場合などは文法を考慮しながら原稿を書いたりすることを思えば、外国語を使うときに「考えることが悪い」、という発想はおかしいのではないでしょうか。
限られた知識であっても、一般的な形で頭に入っていれば、あとは語彙さえ自分で調達できれば、かなり幅広く応用することができます。この教授法は、時に驚くほどの効果を発揮します。
また、シンプルで分かりやすいパターンやルールは覚えやすく、また復習しやすいという利点もあります。常に記憶を維持することが求められる語学学習では、せっかく苦労して覚えたものを忘れてしまったときにすぐに思い出せるかどうか、すぐ覚えなおせるかどうかは、非常に重要です。
いくら頭で理解していても記憶していても、それを口から音声の形で出せなければ話すことはできません。しくみを理解したら、次はそれを使えるようにする訓練が重要です。当たり前のことですが、同じことを何度も繰り返し練習する、特に流暢さを追求するのであれば、どうしてもこのプロセスが欠かせません。退屈だから、おもしろくないからやらないのではなく、いかに飽きさせずにこの訓練を必要十分なだけやらせることができるか、そこが教師の腕の見せ所です。MISJではドリル訓練法が確立されているため、きちんと復習をする学習者は、驚くほど短期間できちんとした文レベルの会話がこなせるようになります。
パターン化メソッドやドリル練習重視メソッドは一見文法や訓練だけを重視しているようですが、MISJの最大の目標は会話力の習得であり、文法は応用力の源として不可欠なもの、ドリル練習は実際の会話を可能にするためのウォーミングアップと位置付けられています。これがMISJ最大の特徴です。
一方MISJのレッスン構成は次のようなプロセスの繰り返しになっています。
つまり、MISJは、1つ1つのレッスンが終了した時点で、必ず何か新しい会話能力が身につくようにデザインされているのです。
会話というと旅行、買い物、注文などに必要な実用会話だけを思い浮かべがちですが、MISJでは日常会話も合わせて学習します。実用会話は用を足すためだけのものですから、相手が日本人であることが前提です。したがって、そういう環境がなければ使ってみることはできません。また、よく教科書にあるような既製の会話がそのまま役立つ場面など実際にはありえません。
一方、日常会話は誰もが家族や友人などと普段の生活のなかで話をしていることがらですから、人間関係を形成できる会話であり、日本語が話せる人であれば相手を問いません。たとえ日本にいなくても使える可能性のある会話です。実用会話だけではなく、日常会話と結びついたレッスンが組み込まれていることで、世界中のどこで学習していても会話力の進歩を常に実感することができます。
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